ケニヤでコミュニケーションプラットフォームを使って麻疹を撃退した話
東海岸。。。とくれば次は西海岸ですよね。とうとうこの春、カリフォルニア・バークレーにも麻疹がやってきました。
LA Timesによると、感染者の推定感染源はバークレーボウルというスーパーマーケットだとか。。。幸い私はここには行ったことはありません。
CDCによると、2000年に麻疹撲滅宣言をして以来の最多数を記録しているそうです。とうとうカリフォルニア州は40万ドルを対策につぎ込むことを宣言。(カリフォルニア州2018-2019年予算案は、総額1兆903ドル、うち一般会計1兆317億ドルで、経済規模世界第3位の州としては爪の先くらいのものですが、多くの感染症の一つの疾患にかける予算と考えると、大したものですよね)。
麻疹流行の原因は予防接種の非徹底によるもので、どんな予防接種も"反対派"と言うものが存在します。日本と少し違うのは、必ずしも副作用を理由とする訳ではないことです。
宗教的理由もその一つで、イスラム教信者、ユダヤ人、一部のキリスト教信者はワクチンを敬遠する傾向にあります。それはワクチンの安定剤として豚ゼラチンが使われているものがあるからです。宗教独特の食事制限や、豚が中絶した胎児由来のものであったりするからだそうです。日本人にとっては遠い遠い話ですね。
しかし、感染症の拡大に伴い、各宗派のリーダたちが、いろんな理由(こじつけ??)でワクチン摂取を進めるに至った、と言うのがこの記事。
Religious Objections to the Measles Vaccine? Get the Shots, Faith Leaders Say - The New York Times
もちろんカリフォルニア州をはじめとしたアメリカ各州・政府も、罰金を課すなどしてワクチン摂取を促しています。
少し前置きが長くなりましたが...
さて、、やっとここからが本題です!!
ワクチン摂取反対派の主な理由は述べた通りですが、麻疹ワクチン(日本ではMMRワクチン)の副作用が他のワクチンに比べてかなり低いと言われていることはあまり知られていません。また、豚でなく牛のゼラチンが用いられていると誤解していたり。。。同様に、各宗教信者もこのようなメディアの情報を知らなければ、摂取できない、と思い込んでいるのが現状です。
このような『情報格差』『誤解』をどのように解決すべきなのでしょうか?
ヒントになるのがこのケニアの学術記事です。
この記事を書いたのはアメリカ赤十字やUNICEF、ビル・メリンダ・ゲイツ財団の共同した研究者グループですが、彼らはケニアの164,643世帯をボランティアとともに訪問し、麻疹ワクチンについて説明した後、スマートフォンアプリでダイレクトコミュニケーションを取りながら追跡調査をしたそうです。
その結果、42,041人(参加者の26%)の子供達が訪問時にワクチンを摂取する予定はない、と答えていたにも関わらず、その後の調査で非摂取の子供は170人(0.1%)に止まったそうです!
訪問+アプリでのコミュニケーションはケニアの人々に絶大なる影響を及ぼした訳ですが、このプラットフォームはなぜ成功したのでしょうか? また他のコミュニティーに応用できるのでしょうか?
彼らはこの記事の中でこう締めくくっています。効果的なプラットフォームとは。。。
1)エビデンスがあること
以前に同様の方法でアプローチして成功した事例があること
2)その地域にあっていること
このケニアのコミュニティは比較的小さく密集しているのでフェイストゥフェイスのやりとりが効果的であった。
3)相互にやりとりが可能であること
フェイストゥフェイスのやりとりの後、アプリで相互のコミュニケーションを行ったことで、お互いに即座にフィードバックを得ることができた。
4)コミュニティーの全ての人が持っているツールを使うこと
皆さんの所属するコミュニティーではどんなプラットフォームが効果的ですか?
なければ、今後どのようにして作っていくことができるでしょうか?